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角丸飾り

ジャーナル No.65

第13回総会を5月21日に開催

「職場における安全衛生活動の活性化を!」

工藤和男理事長は第13回総会開催にあたって、「H20年度の道内の死亡災害は過去最小で80名となった。しかし一方で生活習慣病に起因する健康診断の有所見率の上昇や、金融危機以降には将来不安や過大な目標に起因して健康や心の病の拡大につながる要因が、今日の私たちを取り巻いているという情勢認識を共有することが重要である。更に、各組織の労使間において、正規・非正規労働者を問わず、安全労働、健康、メンタルヘルス、過重労働などに十分なチェックを行って、職場の労働環境の整備や予防対策に万全を期す取り組みをお願いしたい」とあいさつしました。

総会には、連合本部古賀事務局長から「連合の第6回安全衛生実態調査結果を参考に、連合安全衛生取り組み指針に従って、その実現に取り組むことを仲間と一緒に応援する」とのメッセージが披露されました。

次に、この1年間の経過について、松浦常務から、研修・セミナー活動について北海道ブロックセイフティネットワーク集会(09年3月)では、マネジメントシステムの実践として“POSITIVE”の概要と、「うつ」による長期休養者の職場復帰対策の2課題を、全道安全衛生担当者会議(03年3月)では、労働と心臓病の関わりについて。また、労災防止指導員研修・連絡会議(08年12月)では、腰痛概念の転換とストレスとの関わり、職場のメンタルヘルス対策についての2課題を取り組んだこと。また、産別・地協のセミナーも9カ所で開催され、主に職場におけるメンタルヘルス問題を中心とした内容となっていること。その他の活動として、産業カウンセラー協会に委託しているメンタルヘルス相談コーナーでは今年度は33件の相談が寄せられたことが報告され、了承されました。

さらに、09年度の活動方針では、第6回連合安全衛生実態調査結果でも、リスクアセスメント・マネジメントシステムが6割程度しか実践されていないことから、職場における安全衛生活動を活性化させるため、「連合第6回安全衛生に関する調査」で特徴としてあげられた点を、労働組合としての課題と認識し取り組みを進めることや、マネジメントシステムの理解をすすめるため、東南アジアの労働組合で実績を重ねてきた“POSITIVE”(労働組合主導の参加型安全衛生向上プログラム)の普及に向けた調査と研究を開始し、今年度は、国内で初めてとなるトレーナー養成などについて、連合本部と連携しスタートさせることや、職業病については、特にVDT問題とメンタルヘルスに注目して、医療生協「職業病センター」と連携を深め対応していくことなどを確認しました。
今後は具体的な計画を理事会で決め、産別・地域に取り組みを要請します。


Journal別冊として第13回総会記念講演集「新型インフルエンザ対策〜医療機関での対策の実際」を発行しました。

POSITIVE解説その4

POSITIVE?ってシリーズ4
東南アジアの労働運動を活性化・・・改善事例に学ぶ安全教育

プログラム開発の二つの背景というのは、一つには<労働者の直接参加による労働安全衛生改善>という流れがあったのと、<現状に合った安全衛生活動の推進と、労使間対話と組合活動強化を図る>そういうことを労働組合のイニシアティブでやろうということで参加型、安全改善を労組主導でやろうということです。

これをアジアの各国で展開してきたのですが、進め方は共通して最初の年度は地元へ行って、地元の慣行に重きを置く必要がありますので、地元での改善事例集、実例を集めます。写真を撮りまくるということですけれども、それを使って教材を作ります。標準の四日間のセミナーを日本人が行ってやるわけです。

2年目、3年目はそれを日本人ではなく現地のトレーナーがやる。それを日本人が支援する。そのトレーナーは、最初は中央で養成するわけですが、各地区に散って地区別にやる。地区別の活動をどんどん広げていく中で4年度以降には地区の代表が集まって全国のトレーナー会議をしていくという形でフォローアップ、地区別の展開を進めていくというのが各国での共通した流れになっています。

今までのところ2006年度、2007年度までは9か国にまで広がってきました。最初に始まったのはパキスタンです。実際にパキスタンで、かなりしっかりしたトレーナーが養成できてきましたので、その人たちに海外に行っていただいて、モンゴルとかタイで展開していただいています。これの経験をもとにバングラディッシュの各地の活動家に集まっていただいて、地域ワークショップ、地域の交流を行う中で新たなマニュアルを作ってそれを今度は中国、ネパール、ベトナムと広げていきました。これらすべてを日本人がやっているわけではなく、最初の1〜2年は日本人が行ってトレーナーを養成し、そのトレーナーが自国の中で参加者を増やし、こういう形で自己増殖しているというそういうプログラムです。

この特徴は、労働組合のイニシアティブで推進すると、いうことです。<安全衛生改善を労働組合主導で推進する実践的手法を用いる>ということ。それから<労働現場の改善実績に示されるポジティブな面に焦点を当てる>ということ。丁度プログラムの名前と同じでポジティブに物事を考えていくということですね。それから<それぞれの国の改善実例を入れた現地に適した教材を用いる>ということ。それから<労働組合員の積極的な参加を通じて組合活動活性化に役立てる>組織率を上げていくということですね。そういうこともあります。それから<改善活動を支える組合員トレーナーのネットワークを構築します>というのがこのプログラムの特徴になっています。

最初の、<安全衛生改善を労働組合主導で推進する実践的手法を用いる>ということは職場を遵守する、日本でも相互のパトロールというのが行われていると思いますけれども、そして改善事例を集める。実際に職場改善をするということの中で、それをグループワークでやっていきます。

労働者参画ということでいきますと、職場ごとでそういう話をするのと、一つには安全衛生委員会を活性化させるということで、労働者の参加ということを強化していくというやり方です。ポジティブな面に焦点を当てるということでいきますとやはり実践して学ぶ、実行して学ぶということですね。そのためには地元で行われている改善事例から学ぶということです。できるだけ広い領域、多領域に注目をします。その中で実施可能な改善策を知って、実施可能ということは、すぐできるということでいくと、ローコストの改善ということに力点を置くということです。改善実施を計画してその改善成果を確認する。目に見えるような改善をすぐに得るということができるということになります。

<POSITIVE?ってシリーズ過去LOG>

準備段階は・・・まず参加者集めと職場視察の了解を得ることから
徹底した“現場主義”で複雑なリスクを共有化する
POSITIVEの出発は「ワイズ」プログラム・・・改善指向型のチェックリスト

角丸飾り

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